年代別保障の持ち方
リスク発生時(病気になったり、亡くなったりなど)の結果というものは、
その家族構成、職場環境、年収、等の個別的な環境の違いによる要因と、
リスクが発生した時点での、社会保障制度、市中金利、物価などの違いによる要因で、
全く違う結果になりえます。
保険加入について、ご両親や、上司など信用のできる人などの「人生の先輩方」に相談する時に注意してほしいのは、
上記をある程度ご理解の上で、あなたの状況と、先輩方が体験したこと
の違いを調整して話してもらうなり、
聞いた話を自分の中で修正する必要があるということです。
(保険のことは勿論、今現在の世の中の事、相談するあなたのこと、全部知っている人に相談する必要がある)
ただし年代も、保険に加入した時代背景も違う経験者では、あなたが本当に教えてほしいことに応えることは(現役で保険の仕事をしていないと)難しいのではないでしょうか?
そんなわけで(あくまでも私見に基づくものですが)世代別で保障の持ち方の例を述べたいと思います。

すべてに共通する部分ですが、まずは保険に入る目的を明確にしてください。
できているよという方の中にも、
保険に入ることが目的になっている人も少なくないように感じます。
保険に入る目的とは 若い方であれば
「子供が独立するまで(自分が退職するまで)万一のことがあっても家族が経済的に不自由しないように」とか
シニア世代であれば
「子供世帯や配偶者に迷惑をかけないように」など
誰にために 何のために を明確にしておくことです。
そのために、まずは自分の立ち位置を明確にしましょう。家族構成を図式化してみるとわかりやすいと思います。

①独身時代(上記の図で「兄弟姉妹」または「子供」)
扶養家族などはないので、死亡時も病気の時も一定期間の収入がなくなって破綻するリスクは比較的少ないとおもいます。
こんなご時世なので、老後の準備を真面目に考える方が多いと思いますが、
極端な老後積立を保険や個人型確定拠出年金(IDECO)でやってしまうと途中で必要資金が発生した時に、解約や払い戻しに制限がありますので要注意。
年齢が若ければ若いほど、今後どこでどのくらいお金がかかるかわかりません。
結婚資金、出産費用、住宅資金、教育資金などが準備できた上での、老後資金準備であることを忘れないでください。
老後の準備をするとき、積み立てもいいのですが、老後の生活費から発生する可能性の高い医療費(治療費)や介護費用を保険で準備しておく方法などが良いかもしれません。
実際に高齢になってから準備する場合、健康上の問題で準備ができない場合も多いですし、何より保険料が何倍も違うかもしれませんので・・・。
その上で、保険で積み立てをしたい場合は、あまり無理しないことは勿論、払込期間にもこだわりましょう。
お仕事の定年(60歳とか)まで払う方法が一般的ですが、短く払うように設定しておけば、教育資金や住宅資金に流用できる場合もあります。
また今のような市中金利が極端に低い時期に長期の支払いで、固定金利の商品はお勧めできません。世の中の金利が良くなってもその商品の金利は悪いままですので・・・。
また年金商品もいいのですが、終身保険や養老保険を使えば死亡保障と貯蓄を同時に準備ができます。(積立利率の高さはケースバイケースです)
まだ死亡保険は…という考えもありますが、遺族の生活費ではなく、ご自身の整理資金と考えてみましょう。
誰でもいつかは必ずかかる資金ですので、(自分で)準備しておかなければ、誰かが代わりに建て替えることを忘れないでほしいものです。
また、ここも若くて健康なうちに用意しておくと、条件が良くなります。
持ち方例) 医療関係の保障(終身タイプ) 終身の死亡保障
②新婚カップル(上の図で「自分」「配偶者」で子供が出産する前)
ご夫婦の収入の内訳によります。
経済的な依存関係が現在も将来もほぼない場合(共働きですね)は
①の独身の時を準用していいのでは?
ただ独身時期に保険料を減らしたいために、
保障額を少なくしてしまった場合は増額が必要かもしれませんので、
「保険はもう入っているから」という方も横着しないで、
どんな保険に入っているかくらいは必ず確認しておきましょう。
もしどちらか主婦か主夫になるなら、
働き手の収入がなくなることはその家庭にとって最悪のリスクの代表格ですから、
働き手の保障はしっかりと準備しましょう。
病気・けがの場合であれば終身の医療保険に加えて、
働けなくなった場合の「所得保障」を定年予定年数まで。
死亡の場合は 積立型の終身、養老と
掛け捨ての定期保険、収入保障などがありますが、
積立型 は積み立てしながらの保障なので、
払っている保険料のロスがない(または少ない)
半面、しっかりとした保障額が必要な場合は(貯金とはいえ)
高額な固定費(保険料)が家計を圧迫する可能性が高いです。
掛け捨て は払っている保険料はほとんど(またはすべて)損失になりますが、
その保険料は(積立型と比較すると)、家計の負担がかなり少なくなります。
若い世帯で いつ・いくらの出費が発生するか予想するのは難しい方は、まずは掛け捨て主体で準備しておき、
将来の出費がある程度見通せるようになれば、徐々に積立型に切り替えていければロスを減らすことができます。
持ち方例 )医療関係の保障(終身タイプ) 終身の死亡保障
(以降は働き手の方用) 定期の死亡保険(収入保障) 所得保障
③お子様が誕生した世帯(上の図で「自分」「配偶者」
共働きにせよ、そうでないにせよ、扶養家族が増えるわけなので、
死亡時も病気けがのときも責任が増える場合が多いです。
両分野とも保障額をしっかりと増やしておく必要があります。
前述と同様に考えてください。
子供が生まれたらまず学資、という風潮があるようですが、
学資保険は絶対必要な保険というわけではありません。
金利が良かったころに学資保険を利用したことがある、
現在ではおじいちゃん、おばあちゃん世代の方々は、
当時の高金利で積み立てができたという成功体験があるので、
自分の子供たちに「子供ができたらまずは学資保険に入りなさい」
とアドバイスする方が多いようなのですが、
市中金利が高かったバブルのころなら兎も角、
現在では原資より満期金が下回る(減ってしまう)ケースもあるので、
「増やす」目的ではウマみはなくなったと思ってください。
それでも1昨年までは終身保険の短期払という商品があり、
まだ我々からみても実用に耐えうる商品があったのですが、
現在はさらに金利が悪化し、それらもお勧めしづらくなってしまっています。
非常に残念な話ですが、今は学資保険・短期払の終身保険ともに
「少しでもいいから増える」貯金ができる商品が数えるほどしかないのが現実で
ほとんどが「減ってしまう貯金」になる商品がほとんどだと思います。
(私だったらこういった商品で教育資金の積み立てはやりません)
教育資金の積み立てをする場合現状2択ではないでしょうか?
・少しリスクをとってでも外貨商品や投資商品で積み立てをする。
・低金利中は流動性が高い資産(銀行預金)で積み立てをしておいて、金利が上がってきてから固定金利商品である学資や終身保険で積み立てを始める。
(とはいえ短期間で金利が上がることは考えづらいので、現状はコツコツ銀行預金になるようですが・・・。)
学資保険自体が保障的な機能がほとんどないので、
保険屋さんから見ると入っても入らなくてもどちらでもいい商品に見えてしまうのですが、
育児雑誌などではいまだに特集を組まれるような分野の商品なので、
どうしても子供が生まれると気になってしまうのかもしれませんね。
持ち方例)医療関係の保障(終身タイプ) 終身の死亡保障
定期の死亡保険(収入保障) 所得保障 短期払の(外貨建)終身保険
④退職後の世帯(上の図で「父」「母」)
この年齢になってから保険の相談に来る方が比較的に多いように感じますが、
この年代になってから新規で保険に加入する場合は健康上の制約も、
保険料の支払いの問題(年齢が高ければ保険料も高い)もありますので
本来は若いうちに老後の保障をしっかりと考えて準備しておき、
この年齢では、不要な保障を外していく作業だけになるよう準備できているのが理想です。
ただ現実は加入する契約者側も、保険を加入させる側の保険会社サイドも安直に契約をしているケースが多く、
手遅れになってから保険の相談にやってくるシニア世代のお客様が後を絶ちません。
同じ仕事に携わる者として反省をしつつ、そういった方にもできる範囲で現状できる対応をしていきたいと思います。
ただこの世代の方が保険の相談に来る時は、
若い世代よりも保険に対する目的意識が明確な方が多いように見えます。
治療費で子供たちに迷惑・負担をかけたくない。葬儀代、お墓代で子供たちに迷惑負担をかけたくない。など
持ち方例)医療関係の保障(終身タイプ) 終身の死亡保障
まとめ
持ち方は上記でいいのですが、継続が難しいような保険料は設定しないようにしましょう。
お気づきかもしれませんが太字の必要保障は全年齢共通です。
ただし21歳の子供と64歳のお父さんが同じ保険に入った場合
・・・保険料の差はおとうさんから見たら言葉も出ないでしょう・・・。
いつかは必要になるような保障であれば、なるべく保険料が安いうちに、ご健康で加入の制限がないうちに、ご準備いただく方が賢明かと思います。
この仕事をしていると、若いころから保険について考えることが大切であることを、折に触れて痛感いたします。